国民健康保険料の減免申請|失業・所得減少の手続き
結論
失業で国保料の軽減を受けるには、雇用保険受給資格者証などを持って市区町村へ届け出ます。所得減少の減免は自治体ごとに要件が違います。
会社を辞めて国民健康保険に入ると、保険料(市町村によっては国民健康保険税)は前年の所得で世帯ごとに計算されます。失業や所得の減少で納めにくいときは、届出や申請で軽くなる制度があります。加入の届出と国民年金の免除は国民健康保険・国民年金の加入手続きと免除・軽減、退職後に健康保険をどれにするかは退職したときの手続きで説明しています。料率は市区町村の条例で決まります。この記事の金額は、葛飾区の令和8年度の料率に前提を当てた試算で、ほかの市区町村の額とは一致しません。
申請が要る制度と、申告だけで足りる制度
厚生労働省は、所得が法令の基準を下回る世帯は均等割・平等割の7割・5割・2割を減額する、としています。倒産・解雇などで離職した人(雇用保険の特定受給資格者)と、雇い止めや疾病などの正当な理由のある自己都合で離職した人(特定理由離職者)は、失業時から翌年度末まで、前年の給与所得を30/100として算定します。災害など特別な事情があるときは、減免や納付猶予を受けられる場合があります。
| 制度 | 手続き | 軽くなる内容 |
|---|---|---|
| 低所得世帯の7割・5割・2割軽減 | 大阪市・葛飾区は申請不要。所得が判明していることが必要 | 均等割・平等割 |
| 非自発的失業者の軽減 | 届出が必要(全国共通の算定) | 本人の前年の給与所得を30/100とみなす |
| 所得減少などの減免 | 申請が必要。要件・割合・期限は市区町村で異なる | 大阪市と大津市の例では所得割 |
令和8年1月15日の厚生労働省保険局長通知(令和8年4月1日施行)では、5割は被保険者数に掛ける金額を31万円、2割は57万円に改めています。葛飾区と大阪市の令和8年度の式は、7割が43万円+10万円×(給与所得者等の数−1)、5割はそこに31万円×被保険者数、2割は57万円×被保険者数を足します。10万円を足すのは、給与所得者等が2人以上のときだけです。
非自発的失業で軽減される人
国保に入る人、またはすでに入っている人で、次の両方に当たる人が対象です(厚生労働省、四国中央市、江戸川区、大阪市)。
- 離職日に65歳未満である
- 雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の離職理由コードが11、12、21、22、23、31、32、33、34のいずれかである
世田谷区は、11・12・21・22・31・32を特定受給資格者、23・33・34を特定理由離職者としています。証の右上に「特」(特例受給資格者)または「高」(高年齢受給資格者)とある人は対象外です。年齢は誕生日の前日に加算されるため、離職日は65歳の誕生日の前々日までです(四国中央市、藤沢市)。
30/100にするのは本人の前年の給与所得だけです。営業・不動産・年金などや、世帯のほかの人の所得はそのままです。給与収入の3割ではありません。四国中央市は、給与収入600万円(令和7年分)なら給与所得436万円、その30/100の130万8千円を使うと例示しています。国税庁の控除(収入360万円超660万円以下は収入×20%+44万円)と一致し、収入190万円超の算式は令和7年分も改正されていません。
期間は、離職日の翌日が属する月から、その月の属する年度の翌年度末までです。失業給付の期間とは別です。四国中央市の例では、令和8年9月30日の離職は令和8年10月から令和10年3月、令和9年3月31日の離職は令和9年4月から令和11年3月です。国保のままなら途中就職後も続き、会社の健康保険に入ると終わります。期間内に国保へ戻ると再び対象です(四国中央市、藤沢市)。転入先では新たに届け出ます(世田谷区)。高額療養費の所得区分にも30/100を使います(厚生労働省。限度額は高額療養費の申請)。恵庭市は、保険税と高額療養費で期間の表を分けています。
試算例(葛飾区の令和8年度料率)
12か月分の年額です。葛飾区は所得割と均等割の合計で、平等割はありません。介護分は40〜64歳が対象なので入れていません。前提は次のとおりです。
- 年度を通じて39歳以下の単身で、その人が世帯主かつ被保険者
- 前年の所得は本人の給与所得200万円だけ(人吉市が、軽減前200万円を軽減後60万円と例示している金額)。給与以外の所得や所得金額調整控除はない
- 旧ただし書き所得は、総所得から基礎控除43万円を引いた額(葛飾区)
- 判定にも給与所得の30/100を使う(大阪市、四国中央市)。給与所得者等が1人なので、10万円×(人数−1)は0円
- 5割の基準は43万円+31万円×1人=74万円。60万円はこれ以下なので5割。軽減前の200万円は、2割の基準43万円+57万円=100万円を超えるため均等割の軽減はない
- 医療分67万円、支援金分26万円、子ども分3万円の賦課限度額には達しない
軽減前の旧ただし書き所得は200万円−43万円=157万円です。157万円×7.51%=117,907円、×2.80%=43,960円、×0.27%=4,239円で、所得割は166,106円です。軽減後は60万円−43万円=17万円です。17万円×7.51%=12,767円、×2.80%=4,760円、×0.27%=459円で、所得割は17,986円です。
| 項目 | 軽減前(給与所得200万円) | 軽減後(給与所得60万円) |
|---|---|---|
| 旧ただし書き所得 | 1,570,000円 | 170,000円 |
| 所得割の合計 | 166,106円 | 17,986円 |
| 均等割 | 67,073円 | 33,536円 |
| 年額 | 233,179円 | 51,522円 |
均等割の内訳は、軽減前が47,600円+17,600円+1,873円、5割後は葛飾区の掲載どおり23,800円+8,800円+936円です。年額の差は181,657円です。すでに加入者がいる世帯へ年度途中で加わる場合、大阪市はその年度の7割・5割・2割を再判定しません。12か月未満の月割は窓口で確認してください。
所得が減ったときの条例減免は市区町村で違う
離職理由コードに当たらない退職や、廃業・事業の不振は、条例の減免を申請できる場合があります。令和8年度の大阪市と大津市は、次のように違います。
| 項目 | 大阪市 | 大津市 |
|---|---|---|
| 所得の要件 | 事由の月以降の世帯の見込所得が、前年の10分の7以下 | 世帯主と加入者全員の令和8年の合計所得が、令和7年の2分の1以下。保険料が令和8年所得の10%以上で、全額は納めていない |
| 減る部分 | 所得割。下の減少率の表 | 所得割。5割以上で10分の5、6割以上で10分の6、7割以上で10分の7、8割以上で10分の8 |
| 申請時期 | 減免を受けたい月の納期限まで。特別な理由がなければ申請月以降。年度ごと | 令和8年の所得が確定してから。期限は令和9年3月24日必着 |
| 非自発的失業の軽減との関係 | 給与所得を30/100にしたあと、所得割をさらに減免 | すでに軽減があるときは、減免額から軽減額を除く |
大阪市の減免率は、減少率100%なら所得割の100%、以後10%刻みで下がり、30%以上40%未満は30%です。30%未満はありません。減少率は(1−見込所得÷令和7年中の世帯所得)×100で、見込は退職などの翌月から1年間です。申請が事実の翌月から3か月を超えるときは、申請月の2か月前から見ます。国保に入っていない世帯主の所得と、譲渡所得など非経常所得の減少は含めません。書類は減免申請書、収入状況申告書、退職日や減少後の給与が分かる書類です。世帯主が変わると再申請し、所得が戻ったら届け出ます。大津市は、減免申請書と、世帯主・加入者全員の令和8年中の所得資料です。所得減少の電子申請は令和9年1月以降の予定としています。
軽減・減免を申請する手順
- 雇用保険受給資格者証または受給資格通知で、離職日、その日の年齢、離職理由コードを確認します。藤沢市と世田谷区は離職票だけでは受け付けないため、証または通知をハローワークで受け取ってから出します。紛失したときは再交付を受けます。
- 国民健康保険の加入届を済ませます。期限の目安は加入手続きの記事で確認してください。
- 前年の所得の申告が済んでいるか確認します。江戸川区は申告がないと軽減できないと案内し、申告先は該当年度の1月1日に住民登録があった自治体です。葛飾区は、収入がなくても住民税の申告がないと均等割が軽減されず、期限を毎年3月15日としています。
- 市区町村の国民健康保険の窓口へ、特例対象被保険者等の届出を出します。郵送や電子申請ができる自治体もあります。別世帯の代理には委任状を求める市があります(四国中央市)。
- 納入通知書で、再計算後の金額と軽減期間を確認します。
- コードの対象外で所得が減っているときは、条例減免の要件と納期限を同じ窓口で確認します。災害が理由のときは罹災証明書の申請も見てください。
窓口・必要書類・期限は市区町村で違う
届出先は住所地の国保窓口です。国民健康保険組合は組合か都道府県です(厚生労働省)。世田谷区は国保・年金課だけで総合支所などは不可、藤沢市は市民センター不可、江戸川区は区民課・各事務所とぴったりサービス、四国中央市は国保医療課と市民窓口センターです。書類の中心は雇用保険受給資格者証または受給資格通知です。江戸川区は本人確認とマイナンバー、大阪市は写しを加え、再就職後は情報連携できないため証または通知が必要としています。郵送は、四国中央市が両面コピー、世田谷区は本人か同じ世帯に限るとしています。
離職から何日以内、という全国一律の届出期限は、厚生労働省の概要にはありません。保険料の市町村では、国民健康保険法第110条の2により、その年度の最初の納期の翌日から2年を経過した日以後は賦課決定ができません。届出が遅れると減額や還付ができない場合があると、足立区と藤沢市が案内しています。江戸川区は2年以上さかのぼる離職日、世田谷区は離職から1年以上の遅れについて、軽減できない場合があると書いています。保険税の市町村の期間制限は、この条文と別に確認してください。
申請前のチェックリスト
- □ 離職理由コードが11、12、21、22、23、31、32、33、34のどれか確認した
- □ 離職日が65歳の誕生日の前々日までか確認した
- □ 受給資格者証または受給資格通知を用意した(離職票だけではないか)
- □ 前年所得の申告が済んでいるか確認した
- □ 国保窓口と、郵送・電子申請の可否を確認した
- □ コードの対象外なら、条例減免の納期限を確認した
よくある質問
Q. 自己都合の退職でも軽減されますか?
A. 離職理由コードが23、33、34なら、特定理由離職者として対象になり得ます。それ以外の自己都合は、この軽減の対象ではありません。所得の減り方が大きければ、市区町村の条例減免を相談できます。要件は市区町村で違います。
Q. 届け出なくても、保険料は自動で下がりますか?
A. 非自発的失業の軽減は届出が必要です(江戸川区、大阪市、藤沢市)。7割・5割・2割は大阪市と葛飾区は申請不要ですが、世帯の所得が判明していることが条件です。
Q. 国民年金の免除と同じ窓口ですか?
A. 別の手続きです。国民年金は国民年金担当や年金事務所、国保料(税)は国民健康保険の担当です。同じ庁舎でも課が違うことが多いので、それぞれ確認してください。
出典
情報確認日:2026年10月27日。料率、減免の要件、窓口、期限は市区町村で異なります。手続きの前に、住所地の窓口と次のページで確認してください。
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- 厚生労働省保険局長通知「国民健康保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について」(令和8年1月15日)
- e-Gov法令検索「国民健康保険法」
- 国税庁「給与所得控除とは」(確定申告書等作成コーナー)
- 国税庁「令和7年・令和8年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書について」
- 葛飾区「国民健康保険料の計算方法(令和8年度)」
- 葛飾区「保険料の均等割額の軽減」
- 大阪市「保険料の軽減・減免」
- 大津市「国民健康保険 保険料の減免について」
- 四国中央市「非自発的失業者に対する軽減措置」
- 江戸川区「非自発的な失業をした方の国民健康保険料軽減制度」
- 藤沢市「非自発的失業者に対する国民健康保険料軽減制度」
- 世田谷区「非自発的失業者の軽減について」
- 人吉市「国民健康保険税の非自発的失業軽減について」
- 恵庭市「非自発的失業者に係る保険税の軽減措置」
- 足立区「国民健康保険料の算定期限(賦課決定の期間制限)」